ボールの表面素材
 ボールの曲がり方(リアクション)に影響を与える物としては大きくわけると
・ボールの表面素材(カバーストック)/表面加工
・コアデザイン/ウェイトブロック
・ダイナミックバランス(動的バランス)
・バランスホール(位置)
・コア、マスバイアス
・スタスティックバランス
に分類されます。今回はその中でもとりわけボールリアクションに最も影響を与えている表面素材の種類とその特徴をご紹介します。 
ボールの表面素材がボールリアクションに与える影響度は、実に65%〜70%に及ぶそうです。各メーカーからいろいろな素材のボールが発売されていますが、なかでも今、最も注目されているのが「カーバイト」という新素材です。これは従来のウレタン系素材の中にカーバイトという炭化物(炭化カルシュウム)を添加物として混入した物で、今のところ分類的にはテクスチャー系の一種に分類されます。このカーバイトも従来までのガラスビーンズやバルーン同様、テクスチャーとしてボールに織り込まれています。素材その物の特徴としては非常に硬い粒子でレーン上のオイルを捕らえ影響を受けにくくピンアクションが従来のテクスチャー系よりも際立って良いのが特徴で日本では各メーカーとも積極的に取り込んでいっているようです。
@プラスチック素材
1970年代から登場して現在に至っている息の長い素材で、アメリカでは「ポリエステル」で統一されています。正式名称はポリエチレンテレフタート「PET」と略され皆さんにも身近なペットボトルはこのPETを頭につけた物だそうで、化学繊維のポリエステルなどと同じ物質です。
その昔レーンのコーティング材がニトロ(ラッカー系)で表面の摩擦が高かった時代には適度な曲がりが得られたのですが、ウレタンコーティングや合成樹脂のレーンが主流になるにつれ、適度な曲がりが得られないようになってしまったためウレタン樹脂にその座を奪われてしまいました。
しかし他の三つの素材と比べると最も摩擦係数が低く曲がりが小さくコントロールしやすい特性のため、入門者向けのボールや上級ボウラーのスペア用ボールとしての需要が高くなっています。
Aウレタン樹脂
80年代に開発された表面素材で第一号として登場した「AMFアングル」は当時は今や伝説となるほど衝撃的だったそうです。レーンコーティング材がニトロからウレタンに変わりつつある時代で、それまでのプラスチックでは得られないようなバックエンドの大きな動きから表面素材の歴史を変えるきっかけとなりました。
その理由はプラスチックよりも摩擦係数が高くオイルゾーンでもドライゾーンでも摩擦力があることからプラスチックに変わる表面素材として登場し、現在まで採用されています。近年ではリアクティブやテクスチャーなどさらに摩擦力の高い素材が開発された事もあり、上級者よりも入門者〜中級者向けのボールとしての需要が高く、丈夫な特性を活かしハウスボールとしても使われることが多くなっています。
Bリアクティブウレタン
90年代に入って開発された新素材で、初期「Xキャリバー」というボールの登場により米国のスコア記録がことごとく塗り替えられ一躍ブームとなりました。
素材としてはウレタンに可塑材を添加した物です。可塑材とはプラスチック材料に広く用いられている添加剤で、材料をやわらかくしたり粘り強くしたりするために使用されるそうです。ボールに使用される可塑材は液状で、変化や加熱により容易に分離して表面ににじみでてきます。この素材のボールを「オイル抜き」すると表面に出てくるオイルの主な物は実は加熱によって出てきた可塑材なのだそうです。
ウレタンリアクティブの特性は、もともと摩擦係数は高いものの、オイル上では小さくなり、ドライゾーンでは摩擦が戻るため急激なブレーキがかかりボールにキレのある曲がりを生み出します。そのため一般的には走って切れるというイメージが強いのですが、いったんオイルがキャリーダウンしだすとボールの曲がりが不安定になってしまうという欠点もあります。
日本ではレーンヘッドのオイルが多くないため、まだまだ人気が高い素材です。
Cテクスチャー系
98年に米国BW社が開発した「プロアクティブ」を皮切りに、現在のカーバイトを添加して物まで各社でさまざまな開発がおこなわれています。リアクティブウレタンにマイカ(雲母の粉)やシリカ(ガラス球や中空のガラス球)など各社それぞれに開発がおこなわれていますが、そのメカニズムは先ほどのリアクティブがまるでスリックタイヤのような原理を用いているのと逆にレインタイヤの原理とでもいうべき、タイヤのトレッドのように表面の凹凸を利用したトラクション効果で、オイルゾーンでもドライゾーンでも摩擦が変化しにくい特性を利用して軌道の安定を図るという狙いの物ですが、当初、開発された物はレーンキャッチが過剰で手前から噛みすぎ、レーン先での変化が小さくなってしまったため日本ではあまり評判が良くありませんでした。開発が進み最近ではカーバイトのようにオイルを捕らえる特性を保ちながらもバックエンドでの動きがある素材も多くなってきています。
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